
さとうたくま(著)
はじめにより
人間の健康が危うくなってきた。
若い女性の健康診断では24%もの人が栄養失調といわれ、70%もの人がカルシウム不足といわれる。がんの死亡率は5人に3人まで上昇中だという。食物アレルギーの指定品目は25品にもなり、今では、りんごや桃の果物アレルギーまでもが健康を危うくしている。自殺が三万人あまり、うつ病が増え心までも脅かされている。
先人に教えられた言葉に「食は人を良くすると書く」が頭から離れない。
平均寿命までの生涯で食の摂取はおよそ61トンにも及び、それを食べ終えて生涯と閉じることになる。
その食によって生命を維持し、人生を楽しんできている。
「食は命の源」である。
しかしながら「食は命の源」としての位置づけが遠のいた。
農産物の野菜の多くは、鉄分などのミネラル不足になった。農業までもがおかしくなったのか?いや、賢明な農業者が存在している。
志を持ち、真剣に作物を観察診断し、自然からの恩恵を受けながら土の命と作物の命を人間の命につなげようとして、その技術の構築に千年しているすばらしい農業者たちがいる。その偉大な農業者の皆さんには農業に対する「志」が根付いていた。
その農業への志を、これからの農業に関係する人達に少しでも伝えたいと思った。
「食と農が未来を変える」と……。